ようこそ、ニッケ鎮守の杜へ
昭和の初期。
毛織物工場に、神宮社が建立されました。
楠(クス)や椎(シイ)といった高木が、お社を囲み、緑の杜が生まれました。
昭和の終わり。
毛織物工場からショッピングセンターと変わったこの土地に、
変わらず神宮社が残りました。
高木の緑はそのままに、隣接する空間は、
芝公園になったり、洋風ガーデンになったりしながら、
行き交う人々の静かな憩いの場としてあり続けました。
21世紀に入ったその年。
この空間で「工房からの風craft in action」が初めて開かれました。
全国からやってきた工芸作家と作品を囲んで、たくさんの人がこの杜に集りました。
緑の空間が、賑わいを不思議そうに受け止めて、新しい庭づくり芽吹きました。
そして今。
ニッケ鎮守の杜の中には、土壁の小屋仕立ての「galleryらふと」が建ち、
藍や棉、和洋各種のハーブといった、有用植物を育てる「手仕事の庭」
という名の花壇が生まれました。
四季を通しての庭づくり、ギャラリーでの展覧会やワークショップ、
年に一度の野外クラフト展「工房からの風」を通して、
ニッケ鎮守の杜に、多くの人が憩い、集うようになりました。
ようこそ
ニッケ鎮守の杜に、ようこそ
おりひめ神社
あります。
クスノキやシイノキに囲まれた空間は、その端正な美しい
お社に鎮めていただいています。
神社の杜に掲げられた由来には、このように記されています。
「当神社の御祭神は「天照大神」様である。
昭和の初め、伊勢の神宮より、御分霊を御奉遷申し上げ、
この森にお神鎮り願った。
当初、御社殿は、千葉県東葛郡中山町大字鬼高「共立モスリン
株式会社中山工場」 内の森を神域として設けられ、昭和十六年
には合併により「日本毛織株式会社」へ、 そして昭和六十三年に
「ニッケコルトンプラザ」へと引き継がれた。
現在の御社殿は、昭和十一年の造営で、昭和四十六年に萱葺き
屋根を銅板葺き屋根に 改修して今日に至っている。」
尚、この神社を「おりひめ神社」と呼びあらためました。
これは、建立の際の祈願であった、工場の安全と繁栄という願いを引き継いで、
その象徴として「おりひめ」を冠したものです。
時代が変わっても、願うこころは変わらずに。
「ニッケ鎮守の杜」の「おりひめ神社」へ、ぜひご参拝くださいませ。
この撮影の少し前に、深めに枝払いをしました。
少し寂しげな木々の緑ですが、「工房からの風」が
開かれる頃には、ちょうどよい感じになっているでしょう。
夏休みには、元気な子どもたちが駈け回っています。
2004年、この地に50年ぶりの大きさという台風が通り過ぎました。
朝、お社の周りは水に囲まれ、水面に清々しく映りこんでいました。
このようなことはコルトンプラザオープン以来初めてでした。
こののち、排水設備稼働によって水は退き、いつもの状態に戻りましたが、このシーンも心に残る美しいものとなりました。
ましろい棉のような雪がしずかに積もり、
周囲の音まで吸い込んでいくようでした。